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遠州浜松「里の家」里山の暮らし

浜松市北区都田町の里山に魅せられて、森と田んぼと畑のある里山、築120年の古民家で暮らし、みやこだ自然学校をしています。

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星野道夫

とてもよく本を読むひとがいる。そうかと言えば、活字に眠気を誘われるひともいる。僕は読まない方に入ると思う。読まないジャンルは小説。しかし、若い頃はよく読んでいた。

例えば、藤原審爾(ふじわらしんじ)。この作家の取り上げるテーマは幅広く、「死にたがる子」では教育を、「結婚の資格」では恋愛を、「熊鷹・青空の美しき狩人」では自然との関わりを取り上げている。自分で言うのは厚かましいが、自分と問題意識の持ち方が似ていると感じていた。童話作家では宮沢賢治の一連の作品、中でも「グスコーブドリの伝説」が好きだった。庄野英二の「星の牧場」、サン=テグジュペリの「星の王子さま」。SFではアイザック=アシモフ、アーサー=C=クラーク。

それが、めっきり読まなくなったのは、自分が小説や童話を書くようになってから。他のひとの作品を読んでしまうと文体が似てしまうような気がして、読まなくなった。ただ、例外がある。写真家の星野道夫の作品とポーラアンダーウッドの作品だ。

ふたりとも、今は亡くなっていて、会うことも新しい本に出会うことはない。今日は星野道夫の紹介。最初に読んだのは、「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて」だった。知り合いが野生動物関係の調査をしていて、名前を聞かされたのがきっかけ。僕の知り合いでカメラが趣味のKさんと顔が良く似ているので、とても親近感を持った。この本は衝撃的だった。特にクリンギット族のワタリガラスの伝説の一説は、意味深い哲学を含んでいる。


今から話すことは、わたしたちにとって、とても大切な物語だ。
だから、しっかりと聞くのだ。
たましいのことを語るのを決してためらってはならない。
ずっと昔の話だ。
どのようにわたしたちがたましいを得たか。
ワタリガラスがこの世界に森をつくった時、生き物たちはまだたましいをもってはいなかった。
人々は森の中に座り、どうしていいのかわからなかった。
木は生長せず、動物たちも魚たちもじっと動くことはなかったのだ。
ワタリガラスが浜辺を歩いていると海の中から大きな火の玉が上がってきた。
ワタリガラスはじっと見つめていた。
すると一人の若者が浜辺の向こうからやって来た。
彼の嘴は素晴らしく長く、それは一羽のタカだった。
タカは実に速く飛ぶ。
「力を貸してくれ」
通り過ぎてゆくタカにワタリガラスは聞いた。
あの火の玉が消えぬうちにその炎を手に入れなければならなかった。
「力を貸してくれ」
三度目にワタリガラスが聞いた時、タカはやっと振り向いた。
「何をしたらいいの」
「あの炎をとってきて欲しいのだ」
「どうやって?」
ワタリガラスは森の中から一本の枝を運んでくると、それをタカの自慢の嘴に結びつけた。
「あの火の玉に近づいたなら、頭を傾けて、枝の先を炎の中に突っ込むのだ」
若者は地上を離れ、ワタリガラスに言われた通りに炎を手に入れると、ものすごい速さで飛び続けた。
炎が嘴を焼き、すでに顔まで迫っていて、若者はその熱さに泣き叫んでいたのだ。
ワタリガラスは言った。
「人々のために苦しむのだ。この世を救うために炎を持ち帰るのだ」
やがて若者の顔は炎に包まれ始めたが、ついに戻ってくると、その炎を、地上へ、崖へ、川の中へ投げ入れた。
その時、すべての動物たち、鳥たち、魚たちはたましいを得て動きだし、森の木々も伸びていった。
それがわたしがおまえたちに残したい物語だ。
木も、岩も、風も、あらゆるものがたましいをもってわたしたちを見つめている。
そのことを忘れるな。
これからの時代が大きく変わってゆくだろう。
だが、森だけは守ってゆかなければならない。
森はわたしたちにあらゆることを教えてくれるからだ。
わたしがこの世を去る日がもうすぐやって来る、だからしっかり聞いておくのだ。
これはわたしたちにとってとても大切な物語なのだから。

(クリンギットインディアンの古老、オースティン・ハモンドが1989年、死ぬ数日前に、クリンギット族の物語を伝承してゆくボブをはじめとする何人かの若者たちに託した神話だった。この古老の最後の声を、ボブはテープレコーダーに記録したのだ。--本書より)

クリンギット族の中でワタリガラスは創造主。ワタリガラスの伝説はベーリング海峡を挟んで、北米からシベリア大陸にかけて残っている。アラスカからシベリアへ渡ろうと計画していた星野道夫は熊に襲われて亡くなる。

このワタリガラスの伝説、何を語っているのだろう、と時々考える。もともとひとつの大きな火の玉から魂が与えられていること、魂を分け合っているとも言える。その魂をタカが運ぶ。タカはよく英知の象徴として登場する。世界を高いところから俯瞰し、物事を大局的に捉えることができる存在だからだ。どこに道が続いていのか、どこへ進むべきか。知恵あるものが魂を運ぶがそれはとても過酷さがともなう。

海の中から大きな火の玉、森の中の一本の枝に炎を持ち帰る、森だけは守ってゆかなければならない、森はわたしたちにあらゆることを教えてくれる・・

古くから語り継がれている伝説や民話は、登場人物や行為が比喩になっている。何の例えなのか、何を象徴しているのか。生きるために必要な知恵が隠されている物語を僕が咀嚼するには、まだまだ時間と経験が必要のようだ。


星野道夫公式サイト
http://www.michio-hoshino.com/

●星野道夫イベント情報 星野道夫MemorialYear(山梨県・清里)
山梨県・清里、(財)キープ協会が運営する八ヶ岳自然ふれあいセンターにおきまして「星野道夫MemorialYear」が開催中です。清里は星野道夫が学生時代に牧場でアルバイトをし、1996年5月には八ヶ岳自然ふれあいセンターで講演をしたこともあるゆかりのある土地です。2007年3月まで星野道夫写真展(時期未定)をはじめ、自然やアラスカにかかわる様々なイベントを開催予定です。

「私のブックマーク」星野道夫の本をテーマとした読書茶話会
期日:実施日時と、テーマとする本
 ・1月29日(月)  19:30~21:30  「森と氷河と鯨」
 ・2月21日(水)  19:30~21:30  「ノーザンライツ」
 ・3月24or25日  時間未定     「星野道夫と見た風景」
内容:星野道夫の本を読みながら、心に響いたそのページに栞をはさみ込んでおいて、集まったメンバーでお茶を飲みながら、その感想を話し合う読書茶話会です。
参加費:無料 (要予約)

●星野道夫テレビ番組情報 NHK総合テレビ「アラスカ はるかなる大地との対話」 再放送
2006年の7月にNHK衛星ハイビジョンで放送された番組を編集しなおし、新たに星野道夫の昔の写真や星野直子のインタビュー等を少しずつ加え、より凝縮された内容となっています。
番組名:アラスカ はるかなる大地との対話
再放送日時:NHK総合テレビ 2007年2月24日(土) 15時05分~15時59分(54分)
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