以前、知的障害児のための「森のやさしい時間」をほぼ月一回のペースで三年間、やりました。この時、森林療法だけでなく、音楽、食事、アロマを含めた総合的なプログラムを目指していました。フィールドの課題や自分自身の勉強不足もあり、十分とは言えない取り組みとなり、心残りな気持ちがあります。
もともと、森林療法はドイツのクナイプ療法をお手本に、日本に紹介されました。日本とドイツの決定的な違いはその制度にあります。ドイツでは、森林療法であるクナイプ療法が推進され、保険が適用されますが、日本(厚生労働省)はそこまでの認識はありません。こうした政府の後押しもあって、ドイツのメディカル・ハーブはかなり研究されている感があります。日本では、漢方と薬草の歴史がありますが、明治以降の西洋医学の導入により、この研究・実績が途絶えたと僕は感じています。ハーブが浸透した日本では、メディカル・ハーブと漢方と薬草の両方を融合させた植物療法があってもいいのではないかと思っています。
すぺてのひとの心身の健康のために、必要なことは自然から頂く「食・水・空気」をベースにした自然療法だと考えています。食と水のことはよく言われますが、実は空気も大切です。呼吸して酸素を取り入れていますが、酸素を食べているとも言えます。本当の星空を体験した方は分かると思いますが、清浄な澄んだ空気なら夏でも天の川が見えます。汚れた空気を呼吸していては、健康にはなれないというのが僕の持論です。空気を清浄にしてくれている森林。
森林浴で言わるフィトンチッドは、針葉樹に含まれていて落葉樹には含まれていません。人工林の杉・ヒノキはフィトンチッドをたくさん出して、清清しい空気をつくりでしています。もともと、虫や病気を防ぐための自衛手段として、フィトンチッドの香りを拡散しています。フィトンチッドの拡散量は朝に多く、次いで夕方となっています。またフィトンチッドは空気より重いため、下へ下へと流れ溜まます。
森林浴をするなら、杉・ヒノキの人工林、朝方、谷あいがオススメです。朝は野鳥も多く活動しているので、バードウォッチングしながら、というのもいいかも知れません。
人工林の適正な管理をして、自然療法プログラムができれば予防医療としてまたホスピタリティの面からも海外からでも人が呼べると僕は思います。自然から頂戴した食材で薬膳料理、おいしい水、自然の音楽。座禅をし、温泉にも入る。すべてが揃っているのが山村です。「こんな田舎によく来てくれた」と、心温まるもてなしはまさに「ホスピタリティ」です。今、山村を失うことは世界にとっても損失になると危惧しています。
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