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遠州浜松「里の家」里山の暮らし

浜松市北区都田町の里山に魅せられて、森と田んぼと畑のある里山、築120年の古民家で暮らし、みやこだ自然学校をしています。
月別アーカイブ  [ 2011年10月 ] 

放射線と食の安全

「放射線は目に見えないから不安」という意見が聞かれる。その不安は当然だと思う。一方で違和感も覚える。では目に見えるものは、安全かどうか判断しているのだろうか、という疑問。食品添加物はパッケージの裏に書かれている。一時、食品添加物が問題になった時代があった。カネミ油症事件、森永砒素ミルク事件などがあげられるが、僕が最も危険だと感じたのはAF2という防腐剤だ。

AF2は海外では発ガン性があるとして食品添加物として認可されなかったが、日本は昭和40年に認可された。AF2に触れた菌が遺伝子異常を起こして繁殖できないため防腐剤として優れていた。昭和49年に使用禁止となったが、日本人は9年間に渡り、AF2を食べていたことになる。僕は昭和36年生まれ。4歳から13歳の間、AF2を含む豆腐や魚肉ソーセージが市場やスーパーに並んでいたことになる。これが、日本人のガンの発生率や遺伝子異常による疾患や障害のひとつの要因となっていると考えている。子どものおやつだった魚肉ソーセージ、今から10年から20年後、平均寿命は現在よりも下がると僕は考えている。

これまでの消費者運動により、極めて毒性の強い食品添加物は使われていない状況だと思う。しかし、何故、食品添加物が使われているのかを考えてもらいたい。まず本物の食品を知らないのだという認識。例えば、ベーコン。実際に作ったことのある人は知っていると思うが、あんなに鮮やかな色にはならない。チャーシューのようなくすんだ色が本物のベーコン。燻製でいぶすため熱が加わるためだ。もうひとつは「安全ならいいんじゃないの」ではなく、人の体に必要のないものはいらない、これまで人類が口にしてこなかったものはいらない、という認識。例えば、木材のセルロース成分はシロアリは消化できるが、人間はできない。消化できないと分かっていて木材を食べる人はいないと思う。しかし、何の栄養もない食品添加物は食べている。もちろん、自然由来の添加物もあるが。日本は世界一の食品添加物消費国だそうで、国民一人あたり年間4.2キログラムも食べいるとの報告もある。僕は食べたくない。

何故、食品添加物が使われているのか。見た目をよくして消費者に買ってもらうため、長距離輸送するためだ。産地が遠ければ遠いほど、僕は買う気が失せる。輸送コストやそれに使われている石油、保存のための農薬や食品添加物が多いのではないかと懸念するからだ。「放射線は目に見えないから不安」という方は、是非、パッケージの裏も見て欲しい。目の前にある「おいしそうな色をした」食品の中に含まれているのだから。僕は自然由来のものはOK、化学的な防腐剤や着色料はNGとしている。そうした食品を食べると僕の味覚は薬臭く感じる。

他にもリスクはたくさんある。ダイオキシンによる環境ホルモン問題もそうだ。プラスチックを焼却する際、ダイオキシンが発生するというものだった。1960年代からの高度成長期、使い捨てのゴミが大量に発生していた。今は高温で焼却し発生が抑えられているためダイオキシンがどうとか言う人も見かけないが、では一体、そのダイオキシンはどこにいったのか。基本的に分解されにくい物質とされている。キノコの一種である白色腐朽菌はダイオキシンを分解することが知られているが、彼らがすべてを分解するだろう、してくれたのだろうとは到底、思えない。化学物質過敏症で困っている人に会ったことがある。接着剤に含まれるホルムアルデヒトが主な原因だ。安かろう良かろうで住宅を買うと、合板に含まれるホルムアルデヒトで困ったことになるかも知れない。住宅に限らず、家具も同様だ。

ぐっと、放射線に話に戻ると、放射線は1960年代の空中核実験で世界中にばら撒かれ、半減期を過ぎた現在でもわずかに、しかし確実に残っている。チェルノブイリ原発事故は1986年。その影響もあるだろう。自然界にあるウランの放射線もある。また、2011年6月には、太陽で巨大フレアにより膨大な放射線嵐が発生し地球に届いた。つまり、今回の事故や過去の核実験や原発事故がなくても、放射線はこの地球にずっと存在していた。それをゼロにすることはできない。これから、放射線の影響ではないかという症状が現れるかもしれない。その時、因果関係を明らかにする検証はかなりの困難を伴うだろう。

文明はリスクを伴う。当時に自然もリスクがある。3.11はそのことを如実に示した。文明も自然もリスクゼロの世界は有り得ない。リスクと闘うこと、リスクを予見し準備をすること、知恵を働かせ、力を合わせることで人類は誕生以来、生き延びてきた。放射線だけでなく、文明や自然のリスクを俯瞰的に広く捉え、ライフスタイルをどうするか考えてもらいたいと思う。
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[ 2011/10/22 23:43 ] 四季の風景 | TB(0) | CM(0)